腎センター

診療・各部門

当院腎センターは、昭和46年7月に開設しました。
2023年度の導入患者数は、95人で、透析回数は32,984回でした。

腹膜透析の千葉県での普及率は低く、なじみが薄いため少し詳しく説明させていただきます。
腹膜透析は、腹腔内にカテーテルを挿入し、一方を体表に出しておきます。このカテーテルに透析液を接続して腹腔内に一定時間貯留した後、交換するというこ とを繰り返し行う透析方法です。自宅や会社などで患者さん自身の生活リズムに合わせて行え、血液透析に比べ残存腎機能が保たれやすく、食事制限も緩いとい うメリットがあります。また、24時間連続して緩徐に透析を行うため(自動腹膜潅流機による夜間だけの透析もあり)、水分や尿毒症物質の体内変動は小さ く、心血管系への負担も血液透析に比べ少なくなります。かつては、腹膜が硬く癒着してしまう被嚢性腹膜硬化症が問題になりましたが、これは長期間腹膜透析 をやり続けたことに伴い発症する合併症です。これを防ぐため、現在の腹膜透析ガイドラインでは、5年程度を目安に血液透析に移行することが望ましいとされ ています。近年、高齢者の透析導入も多くなっており、通院が困難であったり、血液透析のためのシャント作製に苦労する患者さんも多く、そうした患者さんに は、腹膜透析が大きな選択枝となります。残存腎機能を長く温存できるという腹膜透析の最大のメリットを生かすためには、腎機能が残っている内に、最初に腹 膜透析を行うPD firstが望ましいのですが、シャント作製が困難となり、やむなく腹膜透析に移行せざるを得ない場合もあります。

■ 担当医プロフィール

白鳥 享 腎センター診療部長

  • 日本外科学会専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

嶋田 俊恒   名誉院長

  • 日本透析医学会認定医・指導医
  • 日本外科学会認定医