令和7年9月30日
放射線科における安全への取り組み
放射線科では、放射線機器および強い磁場と電磁波を用いる機器(MRI)を取り扱っております。これらを用いた検査と治療に関わるすべての職員が、安全かつ適正に業務を遂行し、患者さんと職員の安全を確保するための取り組みを行っています。これらの取り組みは、医療法、労働安全衛生法、電離放射線障害防止規則などの法令等と、関連する学会のガイドラインなどに準じて行っております。
1.患者さんの安全
患者さんの安全を守るため、転倒防止や移動介助を徹底いたしております。また、検査時の人間違いを防止するために、氏名、生年月日など個人を識別できる情報をお伺いするほか、入院患者さんには病院としてリストバンドの装着をお願いし、これを用いて放射線検査オーダーとの照合を行っています。検査の実施にあたっては、疼痛部位や検査の適応を確認し、不必要な検査の回避をしています。特に放射線被ばくについては、年齢や体格に応じて撮影条件を調整し、撮影項目ごとに線量を記録・管理したうえで、定期的に解析とプロトコルの見直しをすることで、最適化に努めています。
診療放射線技師長は、医療放射線安全管理責任者として医療安全管理室に所属し、患者さんの安全に関する問題が生じた際には速やかに情報収集と共有を行い、対策を講じています。
行く先々で氏名や生年月日などをお聞かせいただくことで、患者さんにはご面倒をおかけしておりますが、どうかご理解ご協力いただけますようお願いいたします。
2.職員の安全
私達は放射線を用いておりますので、放射線業務に従事する職員の安全確保も重要です。放射線防護の基本である遮蔽・距離・時間に関する教育を実施するとともに、個人被ばく線量をバッジで定期的に測定し、放射線防護衣や防護眼鏡などを適切に用いるなど、被ばく防護の実践を徹底しています。
新たな知見により、眼の水晶体の等価線量限度は、2021年4月1日より引き下げられました。X線透視下でカテーテル等を用いて行う治療(IVR)を専門的に実践する者にとって、水晶体の放射線防護はとても重要です。当院では独自の線量制限値を設定し、職員の被ばくの傾向を毎月解析し、労働安全衛生を扱う安全衛生委員会と情報共有するとともに、個々の働きかたに合わせた対策を講じております。
3.装置・設備の安全
放射線機器の安全性を確保するため、定期的に点検と調整を実施し、放射線出力と画像品質の担保を行っています。放射線検査室は、放射線が漏れないように設計されており、漏洩する線量が法令で定められた基準値を超えないことを定期的に確認しております。
MRIにおいても同様に、定期的な点検などによる品質保証を行っています。また、電波法に定めを遵守するとともに、装置への吸着事故を防ぐために職員へ研修等を実施し、安全な運用に細心の注意を払っています。
災害への対策として、当院には非常用電源が整備され、電力の供給が遮断された際であっても緊急の検査であれば対応できる準備があります。これについて、法定電気設備点検の機会を利用し、運用に関する独自の訓練を実施しております。また、仁戸名地区の3病院にて防災に関する協定を結び、災害時の協力体制を構築いたしております。

4.情報の安全
当院では、個人情報が漏洩することが無いように個人情報保護規定を設け、細心の注意を払って情報の取り扱いを行っております。カルテも含め、多くの情報を電子化しておりますが、アクセスの制御や外部への接続を厳しく制限するだけでなく、通信の監視や記録をすることで、情報セキュリティのリスクを最小限にとどめる措置を講じています。必要時には他の医療機関と検査データの共有をさせていただいておりますが、ルールに則り、安全な情報の受け渡しに努めております。